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白玉老虎 백옥로호 はくぎょくろうこ

「済州4.3」は終わった

もうそのように断言しちゃって良いのではあるまいかと筆者は最近考え始めている。全くもって、近年の済州島と4.3事件関連運動界隈というのは酷い有様で、これではあの時の虐殺被害者達や民族的良心に従って南朝鮮単独政府に反対した人々が全く浮かばれない。

1948年に南朝鮮単独選挙に反対する闘争から始まった4.3虐殺事件の仔細については詳しく解説しているサイトがいくらでもあるので、ここで多くは触れない。虐殺を実行した軍警や西北青年会には多くの親日派が含まれており、それを指示した李承晩もかつては表向き「独立運動家」の看板を掲げてはいたが、その政権は親日派との妥協によって成立していた。もちろんこれらのバックには南朝鮮を占領していたアメリカがおり、アメリカこそ隠れた4.3虐殺事件の最高責任者であったとも言える。
4.3事件は単独選挙・単独政府に反対した義挙として、同時にそれを踏みにじったアメリカと李承晩と親日勢力の残虐さから、今でも多くの歴史的教訓を与えてくれている。しかしながら最近ではそうした「済州4.3の精神」を毀損するような事が、それも当の済州島の地方自治体及び4.3事件関連の記念事業や記録活動をしている「市民社会」側から起こっているという事をどれだけの人間が知っているであろうか。

今の「4.3界隈」がどういう問題行動をしているのかというと、一言で言って「欧米帝国主義&ナチス陣営への帰依」という事に尽きる。ウクライナ事態以降の「4.3界隈」って凄いよ。もう済州島を挙げて「スラバウクライニイイイイイッ!」「ウクライナ加油・暴露膺懲」「プーチンは殺人鬼」の大合唱だ。「4.3界隈」って、今やすっかりNATOやウクラネオナチの下請けみたいになってしまっている。いや、これは「4.3界隈」だけじゃなくて韓国の市民・社会運動の「業界」全体がそうなんだけれどね…。

それを特に象徴する例をいくつか御紹介しておきたい

2022年2月28日に駐韓ロシア大使館前でウクライナ侵攻に抗議する市民・社会団体の集会と記者会見が行われた。その時発表された記者会見文では一応申し訳程度に「西側も軍拡を中断せよ」みたいな事が書かれてはいたが、それ以外の部分は基本的に全て「ロシアが悪い」のトーンで一貫していた。アメリカが仕組んだマイダンクーデターによるネオナチ政権誕生、ロシア語やロシア文化の禁止、ゼレンスキー与党以外の政党の禁止、ドンバスなど東部でのロシア系住民に対する迫害と虐殺などについては一切言及なし。「ロシアのウクライナ侵攻は、数年間平和的合意を通じてウクライナ問題を解決しようとしてきた国際社会の努力を無視する仕打だ」という部分に至っては、どこの平行世界の話をしているのかと言いたくなるデマ話であった。ミンスク合意をウクラと西側が破り続けた事実を見ても分かるように、現実と180度逆。もちろんこの「国際社会」なる聞きなれた単語が何を意味しているか、みなさんには言うまでもあるまい。そしてこの賛同団体の中には済州4.3記念事業委員会や済州平和人権センターといった4.3事件関連の活動をしている団体が含まれていた。
(ただし韓国カトリック教会は上記記者会見後の4月3日に4.3事件追悼ミサを行い、そこでウクライナ事態について「マスコミ報道のようにロシアとウクライナの戦争のように思われているが、実際はロシアとアメリカの戦争」であるとズバリ指摘しており、「何でもロシアとプーチンが絶対的に悪い派」である他の「市民社会」とは一線を画すスタンスを見せている。後のローマ法王の言動もそうだったが、カトリックのウクライナ事態に対するスタンスは微妙なものがあるようだ)

2022年4月に済州国際平和センターという施設でウクライナ首都キエフ市の一日を記録した写真展が開催された。これは要するに「ロシアの残忍な攻撃でいかにキエフは悲惨な目に遭ったか」をプロパガンダする写真展なのだが、この展示会のハイライトはそうしたつまらない写真ではない。元ボクシングチャンピオンで現キエフ市長であるビタリ・クリチコがこの写真展に応援メッセージを送ってきた事であろう。曰く「我々は絶対に諦めないでしょう。我々は立ち上がるでしょう」と。ボクシングの世界では有名な話だが、クリチコはかなり過激なネオナチである。ウクライナのネオナチとはすなわち、自分らウクライナ人は「アーリアンスラブ」という優秀な人種であり、ロシア人やポーランド人といった他の「下等なスラブ人」は人間以下のケダモノだから絶滅させるべきという例のアレだ。「平和の島」を自称して4.3事件の惨劇を世に伝える済州島に、虐殺者ステパン・バンデラの後裔であるウクライナネオナチが応援メッセージを…。

この他にも地元の小学生まで動員して「ウクライナに平和を」みたいな催し物をやったり、ウクライナ大使館に「平和のメッセージ」を送ったりと、この2年ほど済州島ではこうした「ウクライナ加油イベント」がひっきりなしに行われてきた。

もうね、何と言うか、4.3闘争の精神というか歴史的意義というのがこれほどまでに踏みにじられたのは初めてではないかと。
4.3事件って日帝植民地支配や米軍の南朝鮮占領がなければおこらなかった事件だよ。米日帝国主義に重大な責任がある事件なのだが、そのアメリカ帝国主義が引き起こした近年最も汚い戦争であるウクライナ戦争に、「4.3界隈」がアメリカの側につくだって? こんな矛盾がどこにあるのか?
4.3事件ではおびただしい民衆が「アカ」だという事で殺された。2014年のマイダンクーデターでウクライナがネオナチの国になり、東部4州で何が起こってきたのか? ロシア系住民に対する虐殺だよ。しかも今のウクライナでは共産党も非合法化された。「アカ」は殺されるか牢屋に入れられるのである。4.3事件当時(今の韓国もだが)のように! 4.3事件と同様の虐殺と赤狩りが現在進行形のウクライナと、済州島地方自治体や「4.3界隈」が連帯する? この人達、自分が何をやってるのか分かってるのか? 
それ以前にウクライナで実際に何が起こってきたのかを全く分かっていないではないか。4.3事件は韓国では長らくタブーとされて話題にする事も出来ない時代が長く続いたが、ウクライナにおけるロシア系住民の虐殺や迫害、共産党の非合法化と弾圧といった事実もまた西側主流メディア(MSM mainstream media)では報道管制が行われて多くの人の耳に届かない状況がかなり続いた。おかしいと思わないのか? 本当の事を知ろうとする努力を全くしていない。
はっきり言って、ウクライナ事態を4.3事件になぞらえて考えれば、東部4州のロシア系住民や共産党はじめとするウクライナの野党こそが4.3事件の虐殺被害者や単独選挙に反対した人々であり、ウクライナネオナチ政権は李承晩政権、アゾフ部隊などのネオナチバンデラ主義者は親日軍警と西北青年会、米NATOはそのまま米占領軍という事になる。その4.3事件の真相や歴史的意義を後世に伝えて記念事業やってるという奴らが、虐殺者李承晩政権と同じポジションにいるネオナチ反共国家ウクライナを応援する? 「平和のメッセージ」まで送って? 次の一言しか出て来ない。
「미친 놈! (狂った奴め!)」

今の済州島と「4.3界隈」というのは欧米日帝国主義陣営、すなわち西側帝国主義・ファシスト・ナチス陣営の最下層構成体に過ぎないと言っても過言ではあるまい。かつて日本帝国主義の植民地として呻吟し、解放後に新たな帝国主義占領に抵抗して統一と民族自決を求めてきたはずの4.3の闘争と精神が、一体どこでどうしてこうなってしまったのか? アメリカによる準植民地状態、歴史的無知、「アカは殺せ」という韓国の反共ファシズム体制と国家保安法などなど…。そうした中で多くの韓国人が「経済発展と民主化を同時に成し遂げた」と自惚れて「想像白人」と化した事も大きいと考えられる。「我々も西側」「我々もG7」と。

済州島(道)という地域そのものにも大きな問題があろう。
済州島の自治体は何かと言うと自らを「平和の島」などと言うが、この島が真に「平和の島」だった事など日帝植民地時代から今にいたるまで一度もなかったのではないか。日帝時代には中国侵略拠点となる日本軍飛行場が作られ、解放後は4.3事件虐殺。朝鮮戦争後は海軍基地(一応韓国軍基地だが、米軍は韓国軍基地を好きなだけ使う事が出来るので事実上米軍基地でもある)が地元住民を弾圧して建設された。この海軍基地は朴正煕政権が発案し、盧武鉉政権が建設を決定し、朴槿恵政権が完成させ、そして文在寅政権が地元住民達を「経済振興」すなわちゼニで黙らせた。朴正煕とその後継者である朴槿恵、盧武鉉とその後継者である文在寅。すなわち「独裁政権」と「民主政権」が代わる代わる交代で推進して完成させたのが、悪名高き済州江汀村の海軍基地であった。特に文在寅が江汀村住民をゼニで黙らせた際に言ったセリフを絶対に忘れてはならない。「ハワイを見よ。ハワイには世界最大の海軍基地があるが、平和の島として繁栄を享受してる」と。ハワイがどれだけ凄まじい「基地の島」であるか、少なくとも反戦平和運動を多少なりともやった事のある者で知らない奴はモグリである。日本の親韓派達の多くが「民主主義の神様」のように崇め奉る文在寅は、そういう妄言を吐いていたのだ。済州島をハワイみたいに! 世界最悪の「基地の島」であるハワイみたいに!
こうした歴史を見ると次のような疑問を抱かずにはいられない。「韓国民主化運動とは何だったのか」「独裁政権と民主政権の違いとは何なのか」と。
さらに言えば、今の済州島は韓国でも特に外国人労働者に対する人権侵害が酷い地域として知られている。済州の主な産業は観光で、その為のホテルや道路といったインフラ施設の建設・整備、名物である海産物の漁といったきつい「3K労働」を担っている、そのほとんどは出稼ぎ外国人労働者なのだ。長時間・低賃金労働の新自由主義政策が酷い韓国だが、それが外国人労働者となるともっと酷い。まるで奴隷のように扱われて安い給料でこき使われ、仕事中に大怪我したりするのはしょっちゅうである。基地を作られたり陸地(륙지 済州島から朝鮮半島本土を指す)の一部から差別されたりといった「可哀想な地域」というイメージが強い済州島だが、何の事はない。地元の人間だって自分らより「下層」の外国人労働者を長時間・低賃金労働でこき使い、差別して酷い人権侵害をしている。何て日本にそっくりなのであろうか! こういう地方自治体がネオナチ国家ウクライナを熱心に応援するようになるのも、何となく分かるような気がするではないか。4.3事件を追及する資格を自ら投げ捨てているのが済州島と「4.3界隈」なのである。
こうした歴史や事情を何も知らず、この島で物見遊山を満喫し、申し訳程度に4.3関連の行事に参加して「自分は韓国を理解し、植民地時代や4.3事件の知識もある良識派」のようなツラをする意識高い系左派日本人、下手な右翼よりも腹が立つ。あんな外国人労働者への人権侵害が横行する観光地、ボイコットするのがまともな神経であろう。最低限、無権利状態に置かれた外国人労働者達に対する思いやりや憐憫の情を見せるべきではないか。でも「日本を罪しない・罰しない非暴力精神大好き派」の意識高い系日本人は、絶対にそんな事はしない。
済州島は日帝時代から今に至るまで「平和の島」であった事など一秒たりともなかった。そしてこれからも真に「平和の島」になれる可能性はほぼないであろう。地元自治体と「4.3界隈」がウクライナ事態であれだけ明確・熱心に西側NATO応援団になる事をショー・ザ・フラッグした時点で、それはほぼ確定した。世界覇権を失いつつあるアメリカはもう何をするか分からない。追い詰められたアメリカがヤケクソになって戦争を起こす可能性が高いのが台湾と朝鮮半島であると言われている。朝鮮半島はもちろんだが、台湾で戦争が起これば済州島など真っ先に最前線となろう。いざそうなった時に「うちは平和の島です。戦争に巻き込まれたくありません」などといった泣き言は通用しない。ウクライナ戦争であれだけ明確にアメリカと西側帝国主義陣営の側に立つと公言したのだから、当然であろう。今のウクライナと同じで、アメリカ様の御為に「最後の済州島民一人になるまで」北か中国相手に「バンザイアタック」するのがこの島に「義務」として課せられるのだ。君達の盟友であるネオナチ市長クリチコ曰く「我々は絶対に諦めないでしょう。我々は立ち上がるでしょう」というセリフと共に特攻だ。そうして将来犠牲になるであろう済州島民の魂はどうなるのかって? いい慰霊場所があるぜ。靖国神社だよ(笑)。

韓国で今回のようなケースは「済州4.3界隈」だけではない。「市民社会」ほぼ100パー近くが似たような状態に陥っている。とりわけ無惨なのは光州関係であろう。光州闘争の記念事業などをやってる団体達もみな凄まじいまでの「ウクライナ加油・暴露膺懲」だ。ひょっとしたら「済州4.3界隈」より酷いかもしれない。今の光州界隈は反北・反中・反ミャンマー軍政・反露の雰囲気が凄まじく、ほぼ帝国主義者・反共主義者・ネオコンに乗っ取られている印象すらある。そういう連中が「俺らはあれだけ激しい戦いで軍事政権に立ち向かい、韓国の民主化を成し遂げた。光州は大韓民国とアジアの民主主義の心臓(笑)なのだ! だから俺達は誰よりも他所の国の民主主義に口出し・介入する権利がある!」とのぼせ上がっているのだから。こういう奴らを我々は他で見た覚えがある。アメリカ帝国主義に何てそっくりなのかと思う。今の光州界隈というのは、民主化闘争に対する矜持や自負心が、後に選民意識や帝国主義やナチズムに変質していった最悪のパターンであると思う。「光州抗争」ゆかりの土地が今ではほとんど「観光地」のようになり、映画化などでエンターテイメント化してしまった事も大きい。さらにそうした「光州民主化闘争」のイメージを自分個人のメシの種や利権にした黄晳暎のような文化人の責任も甚大だ。こんな所へわざわざ日本から行って、一体何を学ぶのかとも思う。
日本の嫌韓ネット右翼は何かと言うと光州闘争済州4.3界隈を「北の手先・アカ」呼ばわりするが、本当に韓国の事を分かってないアホウどもと思う。大昔はともかく今の光州や済州4.3界隈というのは左派・進歩派どころか、おまえら日本人嫌韓右翼なんかよりもはるかに極右で帝国主義的でネオコンでアメリカ様に忠実だよ。現実を認めなさい。悔しかったらおまえらももっともっとアメリカ様に忠義を尽くせ(笑)。

…冗談はともかく、
「済州4.3」は終わった。
「光州5.18」も終わった。

ウクライナ戦争におけるロシアの勝利で世界秩序がひっくり返り、アメリカ一極支配体制は崩壊した。この影響で、第2次大戦後も長らく欧米帝国主義の半植民地にされたり侵略の脅威にさらされていたグローバルサウス(もちろんこれには朝鮮民主主義人民共和国も含まれる!)も決起・解放されつつある。米NATOやナチス王国ウクライナに肩入れするという事は、第三世界の解放にも銃口を向けるという事だ。「済州4.3」も「光州5.18」も、その他韓国市民社会も実際には帝国主義・ファシズム・ナチス陣営の側にいた。いずれも元は米日帝国主義の被害者であったはずなのに…。帝国主義植民地化の被害者でありながら、メンタリティが帝国主義臣民という二律背反。あまりにも韓国らしいと言えば韓国らしい。そのUSA帝国の尻ッペタにくっついて寄生していた「4.3」も「5.18」も、宿主たる帝国の没落と運命を共にする事になったという事であろう。当時の虐殺犠牲者だけが浮かばれない。

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