忍者ブログ

白玉老虎 백옥로호 はくぎょくろうこ

【翻訳記事】ハン・ソル氏のフェイスブック2024年6月20日付記事より「歴史の変曲点になる朝鮮-ロシア首脳会談、どのような視点で見るべきか」

今回は韓国で首都防衛司令部参謀長と陸軍軍事研究所所長を歴任したハン・ソル(한설)氏が自身のフェイスブック上で6月20日に発表した記事を翻訳して御紹介したい。テーマはもちろん先日のプーチン訪朝と朝露首脳会談である。
このハン・ソル氏という韓国の変わり者の元将校については、別の機会に何度か記事を訳して御紹介した事がある。この人は韓国と旧ソ連が修交した頃であったと思うが、両国の軍事交流でしばらくソ連・ロシアに研修か留学のような形で向こうへ行っていた事があり、その機会にソ連・ロシアの軍事思想や軍事体系といったものを大いに学んだという。韓国の軍事関係者の中でもロシアの軍事に最も精通している人物と言って過言ではない。だからこそ、この人は2022年に勃発したウクライナ事態の本質を鋭く見抜く事が出来たのであろう。
「ウクライナには全く勝ち目はない」
「これはロシアとウクライナの戦争ではなく、ロシアと欧米NATO帝国主義の戦争である」
「ウクライナ事態を契機にアメリカの世界覇権は崩壊する」
「第三世界グローバルサウス諸国はかつてソ連に民族解放戦争で大恩を受けた。故にこれらの国々はロシアを支持する」
「グローバルサウスは資源国の集団であり、これらの台頭によって今後は技術ではなく資源を持った国が強くなる」
上記はウクライナ事態勃発後にハン氏が語った事のおおまかな内容だが、周知のように現実はことごとくそのようになった。もちろんこうした内容は日本や韓国を含む西側主流メディアで垂れ流されてきた報道内容とは180度違う。結果いずれが正しかったかは明白であろう(もちろん氏のこれまでの発言が全て正しかった訳ではない。たまに変な事を言う事もあるので注意が必要だが)。西側主流メディアというのは一体どこの平行世界の話をしてきたのやら。韓国もウクライナ事態でロシアを制裁する側に回り、結果食糧やエネルギーの価格が暴騰して多くの人々が困窮するようになったのは日本と変わらない。
こうした国を挙げて韓国を「ウクライナ加油・暴露膺懲」に向かわせた張本人は前大統領文在寅とその与党民主党政権であった。それを今の尹錫悦政権がそのまま継承・拡大させて今に至っている。韓国という国はアメポチにして西側帝国主義の手先であり、韓国の保守二大政党いずれもそうした点では全く違いがないという事を多くの日本人は知らない(在日にもそういうの多いが)。親韓派・嫌韓派問わずである。日本同様に韓国でもウクライナ事態を客観的・現実主義的に見る事が出来る論者がメディアからことごとくパージされ、それが今の惨状を招いた大きな原因の一つであった。ハンギョレなんて本当に酷かったからね。この間のハンギョレはあたかもウクライナのネオナチと一体化したような有様であった。朴露子なんて輩を何でありがたがる奴が多いのか理解出来ない。朴露子なんてとてもじゃないが、ただのロシア系ユダヤ人ではなかろう。巧妙に偽装したタチの悪いシオニスト(=ナチス)にしか見えないんだが。ハンギョレ新聞の論調はとっくの昔に「韓国を守ってもらう為には駐韓米軍様に「コスト」を支払うのは当然」みたいなレベルまでイっちゃってる(そう、例のあの国際部長だった、今は論説委員の奴だよ!)という事を、もっと多くの人が気付いて良い頃である。もちろん今回のプーチン訪朝と朝露首脳会談にハンギョレは発狂レベルで反発してました。もう極右紙の朝鮮日報と何も違わんよ…。

このように韓国でウクライナ事態について最もまともな事を言っていた論客の一人であるハン・ソル氏だが、今回は朝鮮半島問題に関心のある方なら最もホットな、と言うより激熱なテーマ「プーチン訪朝と朝露首脳会談」に語ってもらおう。まさにこれは世界情勢・東アジア・朝鮮半島大激震の出来事と言って良い。これによって西側の対朝制裁が事実上終わったという事を、筆者も先日述べさせていただいたが、それをより深く掘り下げてくれたのが今回のハン・ソル氏の記事である。今回朝露両国が結んだ事実上の同盟と言うべき「包括的な戦略的同伴者関係に関する条約」によって全く新しい時代が開かれた訳だが、それが朝鮮共和国にとってどれだけ大きな路線変更であったかを歴史的に述べてくれた。昨年末の党全員会議以降朝鮮共和国は南との関係を断絶した事に続き、これまた先代金正日時代以来の大幅な大激変だ。今後NATOとの衝突が予想されるウクライナ戦争との関わりで言えば、核を持った朝鮮共和国がロシアの背後で戦争を抑止する強力な存在になるという事でもある。「北朝鮮がロシアに砲弾提供」などという馬鹿げたデマ話のレベルではない。この「砲弾提供」というフェイクニュースには平壌日記の伊藤孝司氏までもが既成事実化して語ってしまっていた。伊藤氏は朝鮮報道について日本では極めて稀な良識的報道をしてきた方だけに、これはさすがにいただけない。弘法も筆の誤りという事はあろうが、伊藤氏には今後十分注意していただきたいと思う。
筆者は当初、朝露間で何かしらの協定や条約が結ばれてもその内容を公開しない可能性があると思っていたが、ふたを開けてみたら早々に堂々と公開していた。西側に見せ付けてやろうという、そういう強固な意志が垣間見える。それだけの破格な内容であるという事だ。実際の内容は以下労働新聞のサイトを参照していただきたい。


朝鮮民主主義人民共和国とロシア共和国間の包括的な戦略的同伴者関係に関する条約
朝鮮語原文
http://www.kcna.kp/kp/article/q/848b072d48dcc965d89ce5f716e78e71.kcmsf


今回の記事の最後に述べられている
「韓国のマスコミと知識人達が朝鮮をあたかも韓国のように常に「保護される国家」と考えるのは、その間生きてきた過程と経験が世の中をまともに見られないよう妨害しているからである。現在韓国のマスコミと知識人達は被保護国というフィルターをかけた目で朝鮮とロシアの関係を見ているのだ。その為マスコミといわゆる専門家達が客観的な状況判断を出来ないのである」
という結論はまさに日本のいわゆる「自称北朝鮮専門家」にもそのまま当てはまる。この「自称北朝鮮専門家」には日本人も在日もいるのだが、こいつら本当にどーしよーもない。アジアプレスはいうまでもなく、辺真一とかの総連転向者出身なんか本当に馬鹿丸出し。本当にこいつら馬鹿どもはお笑いネタとして見てて飽きんわ。

論より証拠。まずは実際にハン・ソル氏の記事をお読みいただこう。
翻訳は筆者・李玉堂が行った。原文記事URLは以下になる。

https://www.facebook.com/seol.han.1253/posts/pfbid0FD9dFYNweKoU8vPMwToHGJbg4uRJ7UiFbLQ1KPEJ4e5FKq9DLnwRZ11rradqqiXkl


ハン・ソル
24-6-20 歴史の変曲点になる朝鮮-ロシア首脳会談、どのような視点で見るべきか
6月19日はアメリカが覇権を喪失する過程で決定的な日として記録されねばならないだろう。多くの人は朝鮮が中国やロシアと関係を強化し、彼らが同盟水準の国家になるという事を当然な話と考えるかもしれない。しかし冷戦終息後に朝鮮がその間生存の為に努力してきた過程を少しでも振り返ってみれば、朝鮮が完全に路線を変更した事を知る事が出来る。
金正恩の今回の路線は過去の金正日の路線と完全に正反対の道を行くものだという点で変曲点の意味を持っている。金正日は冷戦終結後、朝鮮が活路を求める唯一の方法はアメリカとの関係改善であると判断した。韓国人達はもう覚えてもいないだろうが、1994年アメリカとの核合意当時に朝鮮はアメリカとの関係改善でようやく生きられるだろうと期待した事があった。だがアメリカはジュネーブ核合意を事実上破棄して軽水炉提供を拒否しながら、朝鮮は苦難の道を歩まねばならなかった。
万一アメリカがジュネーブ核合意をそのまま維持していたら、朝鮮の核兵器を当時の水準に留めておきながら、朝鮮をアメリカと近しい国家にする事が出来ただろう。朝鮮が中国やロシアとこうした関係を作り出す事は出来なかっただろう。
ジュネーブ核合意が事実上無為に帰した以後にも、朝鮮はアメリカとの関係改善で自分達の陥った現状を打開するという路線をそのまま維持していた。苦労して築かれた朝米間核合意も2005年バンコ・デルタ・アジア(BDA)事件で霧散した。これまで韓国とアメリカの当局とマスコミ達は朝鮮とアメリカの核合意過程で朝鮮が合意に違反したと主張するが、その前後関係を少しでも確かめてみればむしろアメリカが合意を守らなかった事を知る事が出来る。朝鮮はアメリカとの合意というのが無意味であると認識していた。金正恩がトランプとシンガポール及びハノイ協議を試みたのは、路線変化の為の最後の試みであっただろう。
朝鮮がアメリカとの関係改善を放棄して新しい道をロシアから求める事にしたのは、大きく二つの為だといえる。
第一は、ウクライナ戦争の勃発だ。朝鮮はウクライナ戦争勃発以後、アメリカが国際政治を掌握する力が弱まっているという事を確実に把握したものと見られる。朝鮮はウクライナ戦争以後に国際政治秩序が変化する以外ないという事を認識して、これから国際政治はアメリカの思い通りに動いていくのは難しいだろうと判断したのだ。
第二は、韓国に対する再判断である。朝鮮にとって韓国は二つの意味を持っていると言える。一つはアメリカとの関係改善の為の仲裁者と媒介者としての意味であり、二つ目は同じ民族として朝鮮が立ち上がるのに切実な助けを得られる相手という事だ。
仲裁者と媒介者というのは独自的な活動領域があってこそ可能である。金正恩登場以降、最後にアメリカとの関係改善の為の韓国の役割を期待したが、特に機能を発揮できなかった。それは韓国がアメリカにあまり偏重し過ぎて、まともな仲裁者及び媒介者としての役割が出来なかった為だ。二つ目の朝鮮が韓国から助けを得られるだろうという最小限の期待を引っ込めてしまったのは、文在寅政権が見せてくれた偽善的な態度と、尹錫悦が見せてくれた朝鮮に対する憎悪心に満ちた敵対的態度の為だろう。
諸般の環境的要件が悪化してきているが、朝鮮とロシアがこのように緊密な関係に発展する事になったのは、ロシアが韓国との関係を完全に再検討した為に可能になった事だと言える。万一尹錫悦政権がウクライナ戦争に対して留保的な態度を執っていたら、今のように朝鮮とロシアが同盟水準の関係に発展する事を防げたかもしれない。ロシアとしても韓国と経済的な関係を維持する事で得られる利益を放棄する理由がないからだ。
ロシアもウクライナ戦争以後の状況を考慮しても、韓国と敵対的な関係への転換を推進しなかった可能性が高い。しかしロシアがそうした悩みをしないようにしたのが尹錫悦である。尹錫悦は一方的にロシアを批難して、ポーランドに兵器を輸出し、ウクライナに相当量の大砲砲弾を輸出する事でロシアを刺激した。ロシアはその間韓国に対して大変自制した姿を見せたものの、結果的に韓国との関係で得られる利点を放棄し、朝鮮との関係改善と拡大を試みたのだ。こうして見ると、今回の朝鮮とロシアの同盟関係樹立は尹錫悦の功労だと言える。
アメリカが最小限の戦略的思考をする能力があったなら、今回のように朝鮮とロシアが同盟関係に出られないよう防がねばならなかっただろう。バイデン政権と尹錫悦政権は十分にそうした能力と要件があったにも関わらず、こうした現状を放置した。朝鮮とロシアのこうした関係発展は、韓国にとってはもちろん機会ではなく挑戦である。これから韓国は朝鮮とロシアの関係強化による安保状況悪化に相当な費用を支払わねばならないだろう。
ロシアが朝鮮とこのように関係を発展させていったのは、以前の文でも言ったように、東アジア地域における中国の「弱いつながり」を補強するという意味と共に、今後ウクライナ戦争へ本格的に突入した時に背後をしっかりと補強するという意味も持っていると思う。ロシアはウクライナ戦争を今と違って全面的に遂行する為の事前準備の一環として、自身の弱点になり得る東北アジア地域を補強するという話だ。
朝鮮とロシアが互いに相互保護条約を結んだとしたら、韓国のマスコミと知識人達はロシアが朝鮮に軍事的支援をするものとばかり考える傾向がある。だが韓国とアメリカが朝鮮半島を戦争状況に追いやる事で、ロシアは自身の後方が危険になる状況を防ぐ必要があると判断しているという点も考慮せねばならないだろう。ロシアと朝鮮の軍事関係は韓国とアメリカの軍事関係のように一方的ではない。
今回の朝鮮とロシアの関係強化を非常に単純に整理するならば、朝鮮が安保的保障を提供してロシアが経済的利益を提供するものと把握出来るだろう。韓国のマスコミと知識人達が朝鮮をあたかも韓国のように常に「保護される国家」と考えるのは、その間生きてきた過程と経験が世の中をまともに見られないよう妨害しているからである。現在韓国のマスコミと知識人達は被保護国というフィルターをかけた目で朝鮮とロシアの関係を見ているのだ。その為マスコミといわゆる専門家達が客観的な状況判断を出来ないのである。


(終)

拍手[9回]

PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

プロフィール

HN:
李玉堂(리옥당 リ・オッタン)
性別:
非公開

カレンダー

04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

P R

フリーエリア