忍者ブログ

白玉老虎 백옥로호 はくぎょくろうこ

逆制裁

◆2022年にロシアによるウクライナへの特別軍事作戦が始まってから、アメリカを中心とする「西側集団」(もちろんこれには日本と韓国もその末席に含まれる)はロシアに対して大変な経済制裁を加えた。代表的なのが石油や天然ガスで、ロシア産石油・ガスをとりわけヨーロッパのEU・NATO諸国が揃って輸入禁止した事は多くの方が御存知の通り。これであのクソ生意気なロシアの奴らを干上がらせてやるんだ。制裁で経済が止まればロシアなんてイチコロだ。アメリカ様に逆らうならず者国家は全てこの世から抹殺してやるのだ、と。
が、しかし…。
蓋を開けてみるとこの「制裁」で窮乏したのは、制裁を受けたロシアではなく、制裁を課した西側ヨーロッパ諸国の方であった。これまで西欧のエネルギーというのはほとんどがロシア産の安い石油や天然ガスに頼っていた訳で、それを何の代替案もなく自ら断ってしまうとか、バカじゃねえのかこいつら。案の定ヨーロッパの国々は、ロシアを困らせようとしてやった制裁が全部自分に跳ね返って、どこの国も光熱費が天井知らずで暴騰し、困窮したのは自分らの方であった。それどころか親分のアメリカ様だけはロシアの石油やガスをその間も買い続け、それを7倍から10倍の値でヨーロッパ諸国に売り付けているのだから、そこらのヤクザどころではないぼったくりであろう。
対するロシアはロシアで、別にEU諸国でなくても石油や天然ガスを欲しがる国はいくらでもいる。他の国に売れば良いまでの話。中国やインドが制裁で輸出出来なくなった分をほぼ買ってくれたのだから、ロシアは何も困らない。それどころか今のロシア経済は有史以来最も安定している。制裁が「逆制裁」になって、自分の首を絞めたのはヨーロッパの方であった。さらにこのウクライナ事態がきっかけとなり、グローバルサウス(第三世界)を中心として対露制裁に同調しない国が一気に表面化する。これが冷戦崩壊以降続いて来たアメリカ一極世界覇権を一挙に弱体化させる事につながったのは、まさに今我々が目撃している通りである。
原則的に考えれば誰でも分かる話なのだが、ヨーロッパに資源なぞ何もありはしない。西欧の国々はこれまでまさに帝国主義・植民地主義で資源を奪ってくるか、さもなければロシアからの安いエネルギー輸入で繁栄を保ってきたのだが、それももはや先が見えたと言って良い。NATOが妙なスケベ心を出してウクライナを自分らの「満州国」(アメリカは今のウクライナに731部隊顔負けの生物化学兵器研究所まで作っていたではないか!)に仕立て上げ、それを使い捨ての兵隊にしてロシア本土を食ってやろうなどという事自体が、己の身の破滅へとつながったのだ。
「今後の世界は核・エネルギー・食糧の3大要素で決定されるだろう」by李海栄(韓国韓神大学教授)
この事に気付かず、逆制裁で己の首を絞めた「西側集団」、実に愚かではないか。

◆韓国という国は日本と並ぶ世界有数のアメリカ属国である。これは親韓派・嫌韓派問わず誰にも否定出来ない事実だ。ウクライナ事態が勃発し、当然ながら韓国も日本も西側の栄誉ある一員(笑)として対ロシア制裁に同調した。さらに韓国の尹錫悦政権はロシアだけでなく、中国に対しても台湾問題に言及するなど露骨に敵対視政策を執っている。それでどうなったか? 今年4月の韓国の輸出は前年比14.2%減であり、そのうち半導体は41%という、大変素敵な数字が表れた。16ヶ月連続の貿易大赤字である。韓国の最近、率直に言えばウクライナ事態以降におけるこうした貿易赤字は尹錫悦政権(と最末期の文在寅政権)の外交大惨事が生み出したと言っても過言ではない。アメリカ様の言い付け通りにロシア制裁に同調しては安い石油や天然ガスが入って来なくなり、アメリカ様の言い付け通りに中国へ喧嘩を売っては半導体が中国市場から締め出されてしまった。韓国もまたヨーロッパと同じで、ロシアと中国を制裁しようとしてそれが全部自分に跳ね返ってダメージを受けるという「逆制裁」に陥っている。人を呪わば穴二つ。因果応報。大義なき制裁に同調して自分の首を絞めた韓国ほど馬鹿な国はない。

よく自身を「親韓派」と称している日本人や在日朝鮮人が少なからずおり、その手の人間達が口癖のように言うのが「韓国民主主義サイコー!」「日本経済が衰退を続け、韓国経済がぐいぐいと伸びている」といった類の話だ。しかしながらこのような話は何の根拠もない風説の流布であり、実際の韓国経済(特にウクライナ事態以降)は先述のようにボロボロで、貿易大赤字と不動産価格下落と光熱費の暴騰などで針地獄のごとき有様だ。それどころか韓国が大赤字を出している対中国半導体貿易で、台湾と日本は黒字だよ。「日本経済が衰退を続け、韓国経済がぐいぐいと伸びている」とか、一体どこの平行世界の話なのか? この手の親韓派達は「韓国は日本なんかよりもずっと民主主義の度合いも経済も発展してる」という、全くの幻想に酔い痴れている奇人集団と言って良い。とにかく親韓派という人種は、現実に朝鮮半島で起こっている出来事を何も知らないし、北南朝鮮半島国家達が公式に発表した文書や数字も全く調べずに、ただ「韓国民主主義バンザイ! 韓国に惚れ込んでる俺達は、嫌韓右翼やレイシストとは違うんだ!」という気持ち悪い自己肯定とナルシズムに中毒してしまっている。ロシアや中国とは違い、韓国に「経済大崩壊」が迫っているというのは、実はかなり信憑性が高いという事に気付かない所が哀れであろう。

こんな事を言うと日本の嫌韓右翼達が大喜びしちゃいそうだが、韓国の次に同じ運命に陥るのは間違いなく日本だという事も念頭においておいた方がいいであろう。日本は韓国同様輸出で食ってる国であり、エネルギーも食糧も輸入しなければ生きていけない。今は何とか韓国よりマシな状況だが、いつ同じ状況に陥ってもおかしくはなかろう。とりわけ欧米はウクライナ支援で金を使い過ぎており、このツケを日本に回したくて仕方がない状況だ。何しろアメリカなんて国家デフォルト寸前までイッちゃってるではないか。日本にも「ウクライナ破産」の足音が刻々と迫っている。「経済大崩壊」が本当になりそうなのは中国・ロシアではなく、韓米日欧の西側集団だ。G7とBRICsのGDPなんてとっくに差はなくなってるし、逆転も遠くない。アメリカはとっくに世界覇権を喪失した!
親韓派も嫌韓派も現実の国際情勢や歴史を知らず、自分に都合の良い勝手な「韓国像」を妄想して酔い痴れているという点で全く違いがない。韓国と日本はいずれも腐った資本主義国家そのものであり、西側世界では珍しくもないありふれたクソ国家であるという事を認められない所が親韓派と嫌韓派の最大の共通点である。

◆広島の原爆投下と敗戦前後の日本の実態を鋭く描いた著名な漫画「はだしのゲン」。この漫画が大昔に週刊少年ジャンプに連載されていたというのは、今ではとても信じられない。現在はほとんど異世界ファンタジーか超能力バトルばかりの同誌に、かつてはこんな漫画が載っていたとは! まあ、1970年代とは時代が違いすぎると言えばそれまでなのだが。

で、右傾化・戦前回帰・改憲・軍事大国化一直線の今の日本では、この「はだしのゲン」がついに「禁書」に近い扱いを受ける事になった。すでに2013年には松江市の図書館では「はだしのゲン」の貸し出しに閲覧制限が掛けられた(後に撤回)し、今年になってからは他ならぬ「ゲン」の舞台でもある広島市の教育委員会が平和教育教材からの同作削除を決定している。「はだしのゲン」のような「反日漫画」はこの世から抹殺してしまえ、新しい軍国主義・帝国主義日本の未来を担う子供達(笑)にあのような「誤解を与える」漫画など読ませてたまるものか、という日本極右勢力の不退転の決意が感じられる。が、しかし…。

この「はだしのゲン」に対する「制裁」は完全に裏目に出た。教材からの削除が発表された途端に売上が10倍から15倍にも増加したのだという。出版元の中央公論新社や汐文社、それに版権と印税を相続した作者・中沢啓治の遺族達はかえって笑いが止まらずウハウハであろう。「はだしのゲン」を抹殺してやろうとした「制裁」が、逆に「ゲン」の売上を増やしてしまったのだから。これもまた西側による対露制裁と同じで、制裁をした側が逆に手痛い目に遭うという「逆制裁」の典型的なパターンであろう。ロシアを制裁した西側諸国が石油もガスも入って来なくなって光熱費が何倍にも上がってしまったように、日本極右勢力が「はだしのゲン」を排除して「制裁」させたおかげで同作の売上は何倍にも増えてしまった。

対露制裁は西側諸国の史上最大の誤算となった
「はだしのゲン」削除は日本極右勢力の史上最大の誤算となった。

今、日本や韓国も含む西側陣営最大のトレンドはまさに「逆制裁」という事に尽きるのではないか。制裁した側が損を見る。ロシアを制裁してはエネルギー不足になったり国家がデフォルト寸前になったり、中国に喧嘩を売っては貿易が赤字になり、気に入らない漫画を言論封殺したら逆にその作品の売上が増えてしまった。
アメリカはじめとする西側諸国におかれては、今後とも「反米国家」に対する制裁をバンバンやっていただきたい。やればやるほど、てめえの首を絞める事になる。西側すなわち帝国主義陣営であり、それらが一刻も早く亡んでくれた方が世界は平和になろう。
もっとも最近ではアメリカもこの「逆制裁」の弊害にさすがに気付いたのか、少し方針を変えるような兆しも見受けられた。6月10日、アメリカはイラクに抑留されているイランの対イラク輸出代金110億ドルのうち、27億ドルを支払う事を承認したという。イランに対する制裁によってアメリカが受けた最大の「逆制裁」効果とは、中国・ロシア・イラン・インドといったユーラシアの大国達が一気に結束してしまった事に他ならない。イランを懐柔して、そうした結束を少しでも防いでみようというのであろう。しかしながらこれについては「もう遅いよ」の一言だ。今さらそんな小細工で時の流れは戻せやしない。

拍手[4回]

PR

プロフィール

HN:
李玉堂(리옥당 リ・オッタン)
性別:
非公開

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

P R

フリーエリア