先日韓国憲法裁判所で尹錫悦に対する弾劾が認容され、正式に尹錫悦は大統領職から失職した。この事を以って「
韓国民主主義サイコー!」とはしゃいでいる者を多く見かけたが、
こいつら何というアホウどもの集団なのかと思う。尹錫悦失脚後の韓国というのははっきり言って「地獄の一丁目を抜けて地獄の二丁目に足を踏み入れたばかり」というのが本当の所だ。そしてその地獄から抜け出せる望みは全く見当たらない。地獄の尹錫悦政権期はもちろん、政権交代後もまた変わらず延々と地獄の底をさ迷って苦しみ続ける未来しか残されていないように見える。現状のままではね。まさに無間地獄。
1990年代の民主化(正確には単なる文民政権化)後の韓国というのは保守二大政党が政権をキャッチボールしてきた訳であり、どちらか片方が大統領を出して政権を取ってもすぐに「アメリカ様最優先。財閥&金持ち様優先」の政策がたたって庶民の生活が悪くなり、失望した有権者がもう片方の保守政党に投票先を変えるというのを延々と繰り返してきた体制であった。現在の共に民主党とその前身政党及び、現在の国民の力とその前身政党の間でだ。世間一般に韓国の民主党は「進歩政党」だとか「左派政党」と見なされる事が多いが、これは全くの誤りである。
韓国の民主党は結党時からして日帝時代の親日財閥当主がスポンサーになって作られた経緯があり、初期の有力政治家にも親日経歴のある者や独立運動経歴のある者でもものすごい右翼反共主義者が混成しており、右翼・反共・親米を是とした保守政党そのものであった。今の国民の力の前身と言うべき李承晩の自由党があまりに過激で暴力的だったから、相対的に民主党が進歩派っぽく見えたに過ぎないし、民主党もそういう「美しい誤解」イメージを政治利用してきた所が強い。もっとも最近では連中も開き直ったのか、
李在明自身が自分らは保守だという実態を明言するようになったが。要するに韓国では「過激派の右翼」と「穏健派の右翼」が政権をたらい回ししてきたに過ぎなかったのである。アメリカやイギリスの保守二大政党とほとんど同じであり、両党にそれほどの違いなどありはしない。そもそも国家保安法(原型は日帝の治安維持法)という世界最悪の弾圧法・反共法が今も存在する韓国で、左翼政党など存在出来る訳がない。日本では左翼・左派と称する人間達がやたらと韓国の民主党とその大統領及び大統領候補(文在寅や李在明など)を礼賛するが、おまえらが推しているその政治家どもはどれもすっごい右翼だよ。矛盾を感じないのか?
そしてこの保守二大政党の政権キャッチボールを延々繰り返してきた結果、韓国という国は何十年経っても世の中が良くならず、庶民の暮らしは悪くなる一方であった。世界最悪の自殺率。世界最悪の老人貧困率。世界最悪の貧富格差。世界最悪の長時間低賃金労働の新自由主義。これまでILOから何度注意されたか分からない、世界最悪の労働者人権。旧日本軍の流れを汲む世界最悪のイジメ軍隊とそこへの徴兵制。世界最悪の不平等隷属関係である韓米同盟。世界最悪の農漁業衰退ぶり。世界最悪の原発密集度。世界最悪の弾圧法にして人権抑圧法である国家保安法。世界最悪の大都市一極集中と地方の超衰退などなど…。韓国という国は「世界最悪」の総合商社みたいな国だが、それらは「民主化」後も何一つ改善・解決されなかった。数年前の朴槿恵弾劾のいわゆる「100万人キャンドルデモ」の後もそうであったし、今回の尹錫悦弾劾後も同じように韓国社会は何一つ良くなる望みはないであろう。日本といい勝負だ。まさに日韓仲良くしようぜ!
とりわけ今現在の韓国が過去と比べても最悪な状況だと思うのは、時はまさにウクライナ戦争による一大激変期、すなわち
李海栄教授の言葉を借りれば「
地政学的大転換」の真っ最中だ。冷戦後のアメリカ一極覇権はもう崩壊したのである。アメリカの言う事何でも聞いてエラソーに出来た時代はとうに過ぎた。韓国というのはとりわけ冷戦時代は西側資本主義陣営のショーウィンドウのような位置にあり、「西側と資本主義の優位」を世界にプロパガンダする意味でも特にアメリカから後押しを受けて経済発展してきた国家であるという事を忘れてはならない。日本も同様にそういう要素が大きかったが。だがその韓国と日本にとっての「
真のお父様(笑)」だったアメリカ様もウクライナ事態以降は世界覇権を失って衰退し、自分だけが生き残るのに必死になり、これまで水をやって育ててきた韓国・日本・ドイツなどの子分達も実がならない状態になったので、それらを根こそぎ刈り取ってしまう事になった。「真のお父様」は自分だけが生き残る為に、刈り取った子分どもの根っこまでしゃぶり尽くすつもりだ。第二次トランプ政権後のアメリカは欧州・日本・韓国といった同盟国(家臣国)を食い物にする事も厭わない。先日の無茶苦茶な関税が良い例だ。韓国はアメリカ(バイデン前政権)の意向に忠実に従って対中貿易を減らしてアメリカとの貿易を増やしたのだが、それが現政権になったら「韓国は対米貿易で一方的に得をしてる」と言われて同盟国のどこよりも高い関税を賦課されたのだから。さらに半導体やバッテリーなど韓国にとっては虎の子・生命線とも言うべき有力産業を全部米本土に移転しろと圧力を掛けられ(現代自動車などはすでにそうし始めている)、アラスカの開発に莫大な投資をしろという圧力もある。アメリカは韓国を骨の髄までしゃぶり尽くす。さらに今後政権交代しても、尹錫悦政権同様にウクライナへ派兵させられそうになる危険も依然として小さくない。
こういう話を韓国民主主義大好き派の連中は分かっているのか? 尹錫悦弾劾に大喜びしてるその手の輩達のブログやSNSなどいくつも見てみたが、そうした問題意識を持っている奴らは皆無である(ただし
ウクライナ問題に関するスタンスで言うと、韓統連だけは幾分目の付け所が違っていてよそよりはナンボかマシだったが)。ただひたすら
「
はい、韓国の民主主義は生きて居ました!」
「
命がけで国会に駆けつけ軍と対峙した市民と議員の判断力と行動力は永久に語り継がれるはず」
「
民主主義は、民衆の血と汗と涙で成長する」
「
国民が大統領を罷免する民主主義の韓国」
「
皆さまの民主主義を守る力は完全です 日本人も韓国から学ぼう!」
「
韓国の国民が大統領を引きずり下ろしました! 全世界が絶賛し全世界から信頼され今まで以上に飛躍するだろう! 本当に良かった! いつまでも語り継がれる歴史に残る出来事です!」
といった、まるで現実というのが見えてない妄想爆発な戯言ばかりであった。とりわけ
「
此れから民主主義政権が樹立されるのだよ 其れより、自民党政権を如何にする日本人よ」
という日本人ネット右翼とも何の違いもない愚かな夜郎自大ぶりには呆れてものが言えなくなる。世の中には在日朝鮮人の人権や日帝のアジア侵略史についてはある程度まともな事(と言うか単なる抽象論や常識論に基づくつまらない説教で、深みのある知識や分析や言説はゼロな場合が多いが)を言う者でも、韓国社会の実態や政治情勢や民主主義については何も知らずに、ただひたすら韓国を「
地上天国」
扱いする者が多い。日本社会が酷過ぎるので、韓国という「隣の芝生」が超絶青く見えてしまうのであろう。韓国なんて日本と同じくらい(部門によってはもっと酷い)超絶腐った、西側のどこにでもある腐れ資本主義国家に過ぎないというのに! と言うか、その手のSNSユーザーで自身を在日朝鮮人であるかのように振舞っている者の内、本当の在日(朝鮮籍・韓国籍・日本籍か国籍は問わず)はどれだけいるのか疑問である。なりすましも相当にいるのではないか(もちろん
国籍やルーツ的には本当の在日であっても、クズでゲスな精神的日本人・精神的アメリカ人はいっぱいいるが)。
単なるアメリカの犬にして腐った反北朝鮮派でしかない徐台教なんかを
好意的にリツイートする連中は、まさにそうしたサンプルケースであり、非常に疑わしい。仮に本当の在日であったとしても、その無知蒙昧ぶりには呆れる。
で、連中の大好きなその民主主義とやらで韓国の貧富格差が解消されたのか? 国家保安法が撤廃されたのか? 対米自立出来たのか? 労働環境が改善されたのか? 農漁業の衰退が防げたのか? 徴兵制が撤廃されたのか? 原発がなくなったのか? 日本に植民地支配責任を取らせる事が出来たのか? 何よりも朝鮮共和国との関係が改善出来たのか? 韓国社会におけるこうした最も重要な懸案や痛い問題において、何一つ韓国民主主義の成果などありはしないのだ。あるとしたら、軍事独裁時代と違って西欧型の自由選挙が出来るようになったというだけであろう。それとて富裕層上流階級の既得権を代弁する政治家・政党以外はまず当選出来ない。要するに日本の資本主義体制とおんなじ。まさに日韓仲良くしようぜ!
この手の連中は「今回の弾劾によって韓国の未来はバラ色」みたいに思っているのかもしれないが、そんな事は全くない。現状では民主党の李在明が大統領に当選する可能性が高いが、これまでと同じように政権だけ交代して政策は何も変わらず、数年して庶民の暮らしがむしろ悪くなり、また国民の力に政権交代というのを無限ループして終わると思う。朴槿恵が失脚して文在寅が取って代わったあの頃と全く変わってないって事に、いいかげん気付けよ。韓国ではこれまで一度も革命など起こった試しがないのだ。
韓国の現実を知らず(知りたがらず)、ウクライナ戦争後の地政学的大転換も気付かず(気付きたがらず)、ただひたすら「
韓国民主主義サイコー!」といううわ言を口走って現実逃避にのめり込む奇人集団。それが親韓派とか韓国民主主義大好き派といった人種の正体である。果たして在特会に代表される嫌韓派差別主義者と比べても、どれだけまともなのか判断がつきかねる駄目な奴らではないか。
尹錫悦の戒厳令すなわち親衛クーデター以前以後から今に至るまで韓国で起こってきた事というのは、決して「民主主義を守る為の戦い」などではなかった。あれは保守二大政党とその支持者・受益者勢力間による権力闘争であった。「強力な権限を持った少数与党の大統領と、議会で議席の多い多数野党」という政治構図の中で、法案の可決と拒否権による廃案を熾烈に繰り返してバチバチやり合ってた訳だから。まさに世界チャンピオンレベルの欲と欲がぶつかり合う世界タイトルマッチクラスの権力の争奪戦。それ以外のものではない。もちろんそうした対立と権力闘争の中でも、
財閥様やアメリカ様の御為になる法案だけは
両者合意でバンバン通してきた訳だが。そうした権力闘争が頂点に達して起こったのがあの親衛クーデターであったという事だ。後は憲法裁判官をめぐる人事と尹錫悦・李在明両者が抱える裁判の日程をめぐる攻防、そして街頭における両陣営支持者の大衆動員といった権力闘争第2段階過程が続く。とりわけ「自分は民主主義を守る為に広場に集まってデモしてるんだ! 俺は民主主義韓国の誇らしい国民なんだ!」と自分に酔ってる連中ほど、保守二大政党の主導権争いに無自覚に利用された「役に立つ馬鹿」の度合いが強い。
あれは民主主義を守る為の戦いなどでは断じてなく、どこの国でも見られる典型的な「権力闘争」である。
これこそが尹錫悦親衛クーデターとそれに伴う韓国情勢を見る際に最も重要な観点であろう。
今回の件で韓国はより発展した民主主義国家になると多くの者は考えているようだが、全く逆であろう。むしろ今後の韓国はファシズムが台頭する可能性が高いと思う。この間に尹錫悦と国民の力陣営並びに李在明と民主党陣営の双方が執った大衆動員方法は、まさに自派の熱狂的支持者の狂気に訴えかけるファシズム的手法であり、ナチや旧日本軍青年将校のそれにより近い。尹陣営も李陣営もいずれも国粋主義丸出しに太極旗を振り回して(日本の堕落したサヨクですらさすがに日の丸は掲げないだろう!)デモを行い、相手陣営打倒と自分らの首領(尹錫悦または李在明)を絶対守護する事が民主主義と国家を守る事だと街頭で絶叫していた。そしてこうした大衆的狂気の源泉となっているのが、他でもない韓国の貧富格差や生活苦による社会への不満である。まさに今の韓国という国は大衆の貧困と社会に対する不満と世情不安によってファシズムへ走る前夜に該当しよう。尹錫悦と国民の力陣営並びにその支持層は見るまでもなく当然だが、対する李在明と民主党陣営並びにその支持層もまた民主主義とはかけ離れたファッショ体質に染まりきっていた。アメリカでもトランプ派と反トランプ陣営が内戦直前の一触即発状態だが、韓国もそれに近い。
「韓国の市民は丸腰でクーデターの軍を阻止した! 偉大な行動だ!」と人は言うが、あの時尹錫悦の命を受けて出動した軍は実は丸腰の市民よりも弱かった。尹錫悦自身が軍事というものを何も理解していない腑抜け(何せ若い頃徴兵逃れをして軍隊にも行ってないのだから)であり、軍に対する掌握も不十分で、そんな奴から無謀な命を受けた軍隊は使い物にならなくなる。自分の任務に疑問を持ってまともに遂行する事も出来なくなるからだ。クーデターを成功させるつもりなら市民の一人や二人平気で射殺出来るくらいでなければならない(朴正煕や全斗煥、それに最近シリアを占領したISやアルカイダを見よ!)が、あの時のブレブレで腑抜けになっていた韓国軍にそんな事が出来たと思うか? あの時の韓国市民達の行動など、偉大でも何でもなかった。
この間韓国で起こってきた事と今の世界情勢、すなわちウクライナ戦争後の地政学的大転換は切り離して考える事が出来ない。2022年にあの欧米帝国主義の命取りとなる戦争で、アメリカの言うがまま対露制裁同調とウクライナ支持をショーザフラッグした末期文在寅政権。その路線を受け継いで対露制裁はもちろん中国との経済関係を低下させ、対北関係もさらに大幅に悪化させた尹錫悦政権。アメリカの世界覇権が崩壊する中で、その衰退する帝国の「下駄の雪」となって自らも転落していったのが韓国(日本もだが)という国であった。そうした中で韓国内の政治的対立は激化し、ロシアからのエネルギーや食糧輸入の途絶によって民衆の生活苦は酷くなり、世情不安の高まりの中で保守二大政党の権力闘争は尹錫悦親衛クーデターという頂点に達する。アメリカは「アメリカンファースト&MAGA」の第二次トランプ政権となり、韓国に対する経済的収奪と圧力はさらに強まっていく。次期大統領が確実視される李在明もまたすでにアメリカに取り込まれて「忠誠の誓い」を立てており(2025年2月3日トランプをノーベル平和賞に推挙。同3月3日民主党による韓米同盟支持決議案提出と北の非核化支持など)、第二の文在寅または第二の尹錫悦となる事は規定路線であろう。
ちなみにこの李在明と民主党を支えてきた
韓国の市民社会運動団体のほぼ100パーは「ウクライナ加油・暴露膺懲」であり、NATOやウクライナネオナチの下請け同然と化していた。知らない人が聞いたら驚くかもしれないが、
従軍慰安婦問題を追及しているはずの正義記憶連帯もまた熱心なウク信であるという事を忘れてはならない。ウクライナネオナチに連帯する奴がどうして日本軍性奴隷制度を批判・追及出来るのか!
韓国の市民社会運動の腐敗堕落ぶりと西側欧米帝国主義陣営追従は限度を知らない。韓国民主主義とやらがポンコツである大きな理由の一つと言えよう。韓国人は日帝の過酷な植民地支配を体験しながら、そのメンタリティは(ある意味日本人以上に)欧米の白人帝国主義そのものであり、その帝国主義や植民地主義に立ち向かって来た第三世界グローバルサウスやBRICSと連帯・共感しようなど、考えた事も考える事も出来ない。韓国の「独裁派」「民主派」両陣営いずれも、日帝を指弾する資格を自ら投げ捨てているのである。
今の韓国という国を論じるにあたって、地政学的大転換は必須の前提条件である。しかしながら韓国民主主義信者ほどそうした現実を無視したがる。アメリカの覇権が崩壊して世界秩序が変わった事などどこ吹く風か、最悪のゴーイングマイウェイで「美しい韓国民主主義」という脳内妄想の世界に引きこもる。今の地政学的大転換と新世界秩序(多極世界秩序)の成立という数百年に一度の大激動の中において、「韓国民主主義」はそれについて行けないし絶対に通用もしない。最低な周回遅れであるという事だ。韓国民主主義信者当人達は己が現実逃避の引きこもりである事も周回遅れである事も自覚出来ていないし、自覚したいとも思っていないであろうが。この連中が「韓国は言われているほど素晴らしい民主主義国家でも何でもない」「ウクライナ戦争後の地政学的大転換」といった
真実に到達する事は決してない。
でもそうした連中ほどアメリカにとっては「超絶役に立つ馬鹿」だ。連中のような愚か者が多ければ多いほど、韓国に対する収奪がやり易くなろう。そもそも世界で何が起こってるかも分かってないんだから、アメリカに抵抗する考えすら起こらないであろう。