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白玉老虎 백옥로호 はくぎょくろうこ

パレスチナ戦争に対するミアシャイマーの予見

米シカゴ大学教授であるジョン・ミアシャイマーは現実主義の政治学者として、ロシアがウクライナ侵攻する可能性を1990年代から予見していた人物である。それが現実となった2022年2月にはこのウクライナ事態の責任が西側NATOの東進にあるという事を直言して袋叩きにもあった。だがミアシャイマーの言っている事は何も間違っていない。それはその間の歴史的経過が証明している。ウクライナ事態勃発後にミアシャイマーほど西側論壇マスコミで嫌われ叩かれた知識人はいないが、それもまた現実主義の面目躍如と言うべきであろう。
ただし誤解のないよう言っておかねばならないが、ウクライナ事態を予見した程の人物だからといってミアシャイマーが「平和主義者」であったり「人道主義者」であるなどという事は断じてない。この人物は飽くまで保守派のアメリカ国益第一主義者であり「アメリカという国の利益の為にやっていい事、悪い事」を徹底して現実的に分析して論じているに過ぎない。だから時と状況によって「アメリカの利益」になるという確信さえあればNATOの東進に反対もするし、賛成もする。今の時代はそれ(NATO東進)がアメリカにとって極めて危険で不利益をもたらすという事を、ミアシャイマーは鋭く見抜いていたので苦言を呈したという事だ。その目的は大変好ましくないが、知識・見識は大変優れている、そんな知識人という事である。今の世の中、西側(もちろん日本・韓国含む)ではロクでもないエセ学者ばかりが主流メディア(MSM mainstream media)で詐欺みたいな事ばかり垂れ流している現状を考えれば、ミアシャイマーのように志はともかく現実をありのままに見て冷徹に分析する人材が「救い」のように思えてくる時がある。無能で馬鹿でインチキな三百代言よりも、有能で知的で正直な悪人の方が傾聴に値する。敵味方問わず無能な輩よりも、有能な敵の方が敬意を払うに値する。これもまたアメリカ一極覇権の崩壊しつつある、「100年間なかった大激変 百年未有之大変局 by習近平」たる今の危世・乱世のあり様であろうか。

さて、このミアシャイマー教授が今後のパレスチナ・イスラエル情勢について非常に興味深い見立てを述べていたので御紹介しておきたい。もちろんこれは今日明日に起こるような短期的見立てではなく、米・イスラエル・西アジア(いわゆる中東)情勢の長期的な見通しとして数年から10年ほどのスパンで、おそらく不可避な流れとして起こるものと考えるべきであろう。これは筆者が度々チェックしている韓国のユーチューブニュースチャンネルで取り上げられていたものである。

https://www.youtube.com/watch?v=dLcNJmkgJX8
전쟁이 어떻게 되든 이스라엘은 이길 수 없다 - 존 미어샤이머 / 팬타곤, 미군 사상자 은폐?
戦争がどうなろうとイスラエルは勝てない ジョン・ミアシャイマー/ペンタゴン、米軍死傷者隠蔽?
2023/11/11公開


・アラブとその他国家はすでに現代化された軍事力を持っている。
・イスラエルは南アフリカのようにアパルトヘイト国家として烙印付けられた。
・アメリカの人口分布が変わっている。(かつて1990年代に80%あった白人人口が今は60%台になり、引き続き減っている。10年もすれば有色人種の割合が50%を超える)
・多極化は避けられず、アメリカの覇権は縮小される。
・アメリカは徐々にイスラエルから手を引く。
・アメリカは中南米とアジア太平洋に集中する事になる。
・アメリカが手を引いたイスラエルの700万人口は、敵対的な3億に取り囲まれた小さな国家に過ぎない。
・トルコとイラン・サウジは核武装をする事になるだろう。


あれだけウクライナ事態で「民主主義を守る戦いだ」「侵略者ロシアを許すな」と騒いでいたアメリカが、イスラエルで事が起こるや即刻ウクラへの支援を打ち切ってイスラエルに肩入れし始めた。もはやゼレンスキーの末路は旧南ベトナム傀儡政権のゴディンジェムか、アフガニスタン傀儡政権のガニのいずれかしかない。西側の支援なしにウクライナが戦争を継続出来る望みはなく、ほぼ見捨てられたのだ。もちろんアメリカがゼニを出せなくなっても、ドイツや日本や韓国といった属国どもにそれをしばらくは肩代わりさせようとするであろう。ゼニや兵器だけでなく、実際に軍も派兵させられそうという点で、日本と韓国は特に危険である。イスラエルとウクライナ秤にかけりゃ、イスラエルが重たい米帝の世界。が、しかし…。
そのアメリカにとって最重要なはずのイスラエルも今後は分からないとミアシャイマーは言う。欧米主流メディアまでもがイスラエルの虐殺蛮行を報じており、これによってイスラエルのアパルトヘイト国家としてのイメージが世界中に大きく広まった事は、ウクライナ事態の時とは大分様相が異なっている。そして何よりもアメリカ自身の実情であろう。アメリカ一極世界覇権の崩壊はもちろん、そうしたアメリカの帝国主義と永久戦争体制を支持してきた白人人口自体の減少、経済の悪化、ドル体制の崩壊などで、イスラエルまでも切り捨てなければならない状況に追い込まれる可能性が高い。
「アメリカは中南米とアジア太平洋に集中する事になる」というのも、先日のアルゼンチン選挙で極右の親米反BRICS派大統領が誕生してしまった事を考えると、不気味である。かつて「裏庭」扱いして暴虐の限りを尽くした南米で、再びアメリカ帝国主義が勢力を伸ばす事になるのであろうか。
アメリカがイスラエルから手を引いたら? 同国もネタニヤフもまた旧南ベトナムやアフガニスタン傀儡政権と同じ事になるしかない。遅いか早いかの違いで、結局ネタニヤフもまたゼレンスキーと同じような立場にある点では違いがないのだ。
そうしてイスラエルは周りのアラブ・イスラム諸国に包囲され、孤立する。そのようにイスラエルが決定的に追い込まれるのは、アラブ・イスラム諸国が核武装を成し遂げた時だ。具体的にその可能性が高いのはトルコ・イラン・サウジといった、あの地域の大国達であろう。トルコ・イラン・サウジが核武装するのもまた時間の問題でしかない。その時にイスラエルの「核の優位」は消滅するのだから。
今後の世界は核・エネルギー・食糧の3大要素で決定されるだろう by李海栄」ピタリと一致する。

こうした事をミアシャイマーのような鋭い現実主義者が言う所に、注目しなければならないのである。これらの見立てをどう考えるかは各人の自由だ。だがそれを重要な参考知識に出来るかどうかが、大きな分かれ道になるであろう。

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